あらすじ
「のろま」「不器用」「ワンテンポ遅い」。そんな劣等感を抱えて生きてきた高校生・藤代航(ふじしろ わたる)は、ある日、古いカセットテープを拾う。そこから聞こえてきたのは、未来の自分の絶望に満ちた声――「七月七日、幼馴染の宮園栞(みやぞの しおり)が事故で死ぬ」という予言だった。
運命の日、航の目の前で栞の命が奪われ、世界は七月一日に巻き戻る。それが、地獄のタイムリープの始まりだった。どんなに手を尽くしても、因果律に囚われたかのように形を変えて訪れる栞の死。絶望的なループを繰り返す中、航は栞の実家である時計店で、時を巻き戻す「歪みの器」と化したアンティーク時計と、自身の右ポケットに現れた「黄金の鍵」の秘密にたどり着く。
そして明かされる、航の「不器用」に隠されたあまりにも切ない真実。彼はのろまな落ちこぼれなどではなかった。誰よりも長く、たった一人で世界と戦い続けてきた孤独なヒーローだったのだ――。
すべての記憶が覚醒した時、航は「一秒を無限に引き延ばす」最強の武器を手に、最悪の運命(七月七日)をぶち壊すための最後の戦いに挑む。