あらすじ

2xx0年。 世界の頂点にあった日本音楽は、ゆるやかに終わりへと向かっていた。 星原冬は”現代”のトップアイドル。 だが彼女は、自分の音楽を世に出せず、日本人楽曲全盛期のような再生回数を取れていないことに焦燥感を覚えていた。 彼女は国立楓雅学園へ進学する。 理由は二つ。 一つは、生徒会長となり、すべての進路を自らの手で切り開くため。 そしてもう一つは―― 正体不明のアーティスト「Retu」に辿り着くため。 冬だけが、彼に繋がる情報を持っていた。 入学後、冬はすぐにRetuと思われる人物に会う。 ただ彼の様子は、2年前とはまるで違った。 立ち振る舞いや打算的な会話の仕方。 姿形以外の全てに違和感がある。 もしかすると彼ではないのか。 しかし彼の歌声を聞いた時、そんな疑念は一瞬で吹き飛んでしまった。 冬は確信する。 彼が、Retu。 今なお”現代”の音楽の最前線で過去に挑み続けている彼。 だがそのすべてを、別の名前と仮面の下で成立させている。 学校では誰からも踏み込ませないクラスの人気者。、 音楽では正体不明の頂点。 彼の持つ2つの顔にはどんな思惑があるのか。 冬はその内側に触れようとする。 壊すためではなく、確かめるために。 彼は何者で、どんな人間であり、どんな生き方をしてきたのか。 だが冬の中に、彼を知れば知るほど言葉にできない感情が生まれていく。 誰にでも見せる笑顔ではないもの。 計算された距離ではないもの。 それは、彼自身すら制御しきれない変化だった。 世界は次の時代へ進もうとする。 過去の記録も、現在の頂点も、すべてを更新するために。 冬は選ぶ。 用意された楽曲ではなく、自分の音楽で立つことを。 彼もまた、選ぶ。 痛みさえ自分のモノにしてしまうことを。 終わりかけていた時代の中で、 二人は初めて、 “誰かに見せるためではない自分”と、 “誰かと繋がるための音”を手に入れる。 それは小さな変化だった。 けれど確かに、世界のどこかで、何かが続いていく音だった。

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小説を読もう2026/05/25
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