あらすじ
「こんな世界から消してくれ……!!!」
初めての都会・福岡でのきらめく大学生活に胸を膨らませていた直後、ひったくりに遭ってスマホとカバンを失った哀れな大学生・田中 智(さとし)。絶望のあまり彼が放ったその一言を、お節介な叡智の神メーティスがガチで聞き入れてしまったことから、彼の前代未聞な異世界サバイバルが幕を開ける!
目が覚めると、見知らぬ土地。ここって異世界?お約束の「チート能力」や「聖剣」なんて都合のいいものは一切なし。神から与えられた初期手持ちは、わずかな銀貨と一冊の辞書のみだった。
絶望的な状況のなか、サトシが生き抜くために頼ったのは、資格でも武器でも仲間でもない──己の頭脳に刻まれた【現代科学の知識】だけ!
「この世界の水、クッソ不味すぎない……!?」
日本人の鋭すぎる味覚を持つサトシは、異世界の飲料水の劣悪さに耐えかね、自炊ならぬ「自作蒸留器」のクラフトを決意する。しかし、それが思いがけず世界の運命を揺るがす大事件へと繋がっていく。
実はこの街の水源は、数年前に世界を滅ぼそうとする凶悪なテロリスト──「魔王」の手先によって、飲めば病に倒れる恐怖の毒水へと汚染されていたのだ!
王都の優秀な魔法使いが莫大な魔力を使ってようやく一時的に「浄化」している呪いの水を、サトシは魔法を一切使せず、ただの「沸点の違いを利用した分離技術(蒸留)」だけで完全にクリアしてみせる。
「これ、ただの魔法の呪いじゃなくて、水に猛毒の溶質が溶けてるだけじゃ?」
質量保存の法則、溶解度、そして飽和──異世界のシステムである『鑑定スキル』を巧みに使って、世界の理を次々と丸裸にしていく。だが、泥臭く実験を繰り返す彼の姿は、現地の警察から「怪しすぎる魔王の手先」として目をつけられてしまい──!?
チートに頼らず、己の知恵と科学の力だけで魔王の陰謀に立ち向かう、ちょっと不憫で最高にロジカルな男子大学生の、異世界ファンタジー!