あらすじ
あらすじ
59歳のヒロトには、もう長い間“男”としての居場所がなかった。
妻マヨとは15年前から夫婦生活がなく、うつ病を抱えた娘ソラとの衝突が絶えない家庭にも疲れ切っていた。
そんなある日、ヒロトはマッチングアプリで29歳の看護師・サオリと出会う。
「会いたかったです」
初対面で恋人のように微笑み、自然に手を繋いでくるサオリに、ヒロトは瞬く間に惹かれていく。
だが彼女の“看護師”という肩書きは嘘だった。
ホテル街で若い男と消えていく姿を見てしまったヒロトは、サオリが売春で生計を立てていることを確信する。
それでも、いや――だからこそ、ヒロトは彼女から離れられなくなっていく。
嫉妬と屈辱、孤独と欲望。
壊れていくのは、愛なのか、それとも自分自身なのか。
現代の孤独と依存を描く、大人の心理恋愛小説。
登場人物
ヒロト(59)
会社員。年齢より十歳ほど若く見られる。
妻とは長年夫婦生活がなく、家庭でも孤独を感じている。
真面目で穏やかな性格だが、心の奥では「まだ男として必要とされたい」という渇望を抱えている。
サオリと出会い、嘘だと分かりながらも深く惹かれていく。
サオリ(29)
マッチングアプリで出会った女。
プロフィールには「大学病院勤務の看護師」と書いているが、それは偽り。
愛嬌があり、歌はカラオケで常に90点とれるほど非常に上手い。
相手に合わせて自然に恋人を演じるが、その優しさが演技なのか本心なのか、本人にも分からなくなっている。
マヨ(57)
ヒロトの妻。
十五年前に子宮筋腫で子宮と卵巣を摘出して以来、夫婦生活はなくなった。
娘ソラの問題もあり、心身ともに疲弊している。
ソラ(30)
ヒロトの長女。
うつ病を抱え、仕事が長続きしない。
精神的に不安定で、母マヨに激しく感情をぶつけることがある。
家庭内の空気をさらに重くしている存在。
アオ(28)
ヒロトの長男。
高校教員として一人暮らしをしている。
家族とは距離を置いているが、完全に無関心というわけでもない。