あらすじ
感情を制御する技術が普及した近未来。
争いも、いじめも、過度なストレスも排除された社会では、人々は他者へ深く干渉せず、静かで合理的な日常を送っていた。
高校生・霧島悠真もまた、感情を“不要なノイズ”として受け入れながら生きる一人だった。
そんな彼のクラスへ、国外から一人の少女が転校してくる。
朝比奈澪。
感情抑制処置を受けていない彼女は、笑い、怒り、泣き、寂しさを口にする“旧時代の人間”だった。
誰も彼女をいじめない。
だが誰も彼女へ踏み込まない。
静かな孤独の中で、澪は少しずつ社会へ擦り減っていく。
そんな彼女と関わるうち、悠真の中にも小さな変化が芽生え始める。
胸の痛み。
夕焼けを綺麗と思う感覚。
誰かに居てほしいという願い。
それは、この社会が不要としたはずの“感情”だった。
これは、
感情を失った世界で、
初めて“好き”を知った少年の物語。