あらすじ
毒物学者だった母を謎の死で失った篠宮灯(しのみやあかり)、17歳。
彼女には少しおかしな習慣がある——人を見るたびに、無意識に「この人を殺すなら何を使うか」を計算してしまうこと。才能、と呼ぶには物騒すぎる。でも祖父はそれを、武器だと言った。
名門・聖桐学院に特待生として入学した初日、灯は三列前の男子の顔色が「おかしい」と気づいた。
桐嶋凪(きりしまなぎ)——学院の頂点に立つ、製薬会社の御曹司。
余計なことを言うなと、わかっていた。でも灯の口は止まらない。
「肝臓、悪くなってますよ」
それが始まりだった。
完璧な学校の裏に隠れる毒。綺麗な顔の裏に眠る秘密。
知識は武器であり、呪いでもある——灯が一番よく知っていることだ。
これは、理系の頭と鋭すぎる観察眼を持つ少女が、毒と薬の境界線で揺れる、静かで少し危険な青春の記録。