あらすじ
深夜一時二十三分、東京発大阪行きの夜行バス。窓際の席に座った私の隣には、三年前に別れた元カレ・瀬戸蒼真がいた。しかも彼は今、私の親友・美月の婚約者。神様って絶対性格悪いでしょ。肘掛けひとつ分の距離。逃げられない密室で、あと六時間。息を吸えば、三年前と同じ匂いがする。心臓がうるさくて仕方ない。「もう関係ないでしょ、私たち」そう言い聞かせるのに、彼の声を聞くだけで胸が苦しくなる。自分から振ったくせに、ずっと引きずっている私は本当にみっともない。親友の幸せを願いたい。でも——「朝になれば忘れる。だから今だけ」暗闘の中、彼の手が私の手を握った。温かくて、大きくて、何も変わっていなくて。朝が来たら終わる。そう思っていたのに、夜明けの光は残酷なほど優しくて——。元カレ×親友の婚約者という禁断の三角関係。一夜限りの密室で暴かれる、隠していた本当の気持ち。逃げ続けた私が初めて選ぶ「始まり」の物語。