あらすじ
魔力灯が落ちた夜、
あなたはようやく知ったのでしょう。
この屋敷を照らしていたのが、
私だったことを。
誇らしげに掲げていた爵位も、
磨き上げた銀食器も、
貴族たちの笑顔も。
すべて、
契約という細い糸で吊られていた。
そしてその糸を、
ずっと握っていたのは――
私。
「愛があれば十分だ」と、
あなたは笑った。
ええ。
ならばどうぞ。
愛だけで、
凍えた朝を越えてください。
止まった転移門を開いてください。
空になった金庫を満たしてください。
崩れ落ちる商会を支えてください。
私はもう、
あなたの赤字を補填しません。
だって契約は終わったのです。
終わった契約に、
未練という科目は存在しない。
だから私は前を向く。
新しい帳簿を開き、
新しい未来へ署名する。
あなたの名前は、
もうどこにも記載されていない。