あらすじ
表向き完璧な優等生・藤代透と、クラスで一番明るくて誰とでも仲が良い人気者・桐谷茉莉。
高校三年の九月、二人は校舎裏のベンチで偶然に出会い、互いが「演技をしている」ことを一瞬で見抜き合ってしまう。
茉莉が透に持ちかけたのは、奇妙な契約だった。
週に一度、水曜日に、ここで会って、お互いに嘘をひとつずつつく。
嘘だとお互い知っている。知っていて、頷いて、受け入れる。
それが、二人だけの約束。
缶コーヒーと缶サイダーを軽く傾けて、乾杯のような仕草で交わされた契約。
教室では決して見せない顔で交わされる、たった十五分の昼休み。
口にした嘘の周りに、自分でも気づかなかった本当の自分の輪郭が、少しずつ浮かび上がってくる。
ただ、嘘を許し合うだけのはずだった。
やがてこの契約は、二人にとって、嘘よりも、ずっと重いものに変わっていく。
これは、嘘を許してくれる相手の前でだけ、本当の自分でいられた二人の物語。
※本作は全22話、約60,000字の作品の予定です。