あらすじ
婚約式の朝、侯爵令嬢エレノアは誓約書から自分の名前が消されていることに気づく。
本来なら、三年前からの婚約者である公爵令息レイモンドと誓約を交わすはずだった。
しかし新婦欄に記されていたのは、彼の病弱な幼なじみリリアの名前。
父も婚約者も言う。
「今日だけは穏便に済ませろ」
「式が終われば、あとで記録は直せばいい」
けれど彼らは知らなかった。
エレノアが王宮記録官として、正式な誓約書を監督する立場にあることを。
王宮記録は、誰かの夢を書く紙ではない。
私の名前を消したその瞬間、この婚約式は恋愛問題ではなく、王宮記録改竄未遂事件となりました。
静かに手続きを進める令嬢が、書類と記録で婚約者たちを追い詰める。