あらすじ
夏美は、雨が降る前の独特な匂いペトリコールを感じるたび、彼女の事を思い出す。
学生時代、放課後を共に過ごし、他愛のない会話を交わす大切な存在。彼女は「雨が降る前の匂いが好き」とよく笑っていた。
しかし、二人の関係はいつしか自然に途切れてしまう。喧嘩をしたわけでもなく、特別な理由があったわけでもない。ただ少しずつ距離ができ、連絡を取るタイミングを失ってしまった。
それから時間が経ち、大人になった夏美は、ある雨の日にふと彼女との思い出が過る。忘れたと思っていた思い出が、雨の気配と共に胸の奥から蘇っていく。
雨の匂いが運んできた記憶は、夏美の心を少しずつ変えていく。