あらすじ
王立中央学園の卒業パーティー――
それは貴族子女たちが“成人”として認められる、華やかな祝宴の日。
地方領主の嫡男マルティン・フォン・アイゼンヴァルトは、壁際で静かにその光景を眺めていた。
第一王子ルーカス・アウレ・レオーベン。
その婚約者にして名門ヴァルガ公爵家の令嬢レーカ・フォン・ヴァルガ。
誰もが羨む理想の婚約者同士――のはずだった。
しかし近頃、王子の傍にはひとりの少女がいた。
戦役で功績を挙げた新興男爵家の庶子、アンナ・フォン・リート。
身分違いの恋。
婚約者への冷遇。
そして卒業パーティー当日、ついに王子は公衆の面前で婚約者を糾弾する。
「私は何人にも恥じる振る舞いはしていない」
愛を貫こうとする王子。
誇り高き公爵令嬢。
震える少女。
熱狂する貴族たち。
誰もが“ありふれた恋愛劇”だと思っていた。
――ただ一人、マルティンだけを除いて。