あらすじ
貴族の次男アローは、魔法学院に通う十八歳の優等生。
五歳年下の婚約者レイシアとの婚姻を認めさせるため、彼は辺境の森に棲む謎の魔獣討伐へ向かった。
激闘の末、アローは魔獣を討ち果たす。
だが勝利の直後、潜んでいた魔獣の幼体に襲われ、彼は喰われてしまった。
数時間後、アローは傷一つない身体で目を覚ます。
しかし、それは奇跡の生還ではなかった。
その魔獣は、喰らった相手の記憶、姿、能力を取り込み、成り代わる存在だったのだ。
アローは人間なのか。
それとも、アローの記憶を持った魔獣なのか。
答えの出ないまま、彼は人間の姿で街へ戻る。
魔獣を討伐した英雄として称えられ、レイシアとの婚儀も進んでいく。
だが、彼の身体はすでに人ではない。
傷は瞬く間に塞がり、身体能力は常人を超え、他の魔物を取り込めば、その力すら自分のものにしてしまう。
英雄として強くなるほど、アローは人間から遠ざかっていく。
そして、辺境で新たな魔獣が暴れ始める。
アローは討伐部隊を率いて再び森へ向かうが、その部隊には婚約者レイシアも同行していた。
人でなくなった英雄は、それでも愛する少女を守れるのか。
これは、魔獣として蘇った少年と、彼を愛してしまった少女の物語。