あらすじ
人は皆、夢から覚めるのが怖いのです──。
夜の花街。
そこには、行き場をなくした者だけが辿り着くという店がある。
花街一の花魁、胡蝶。
彼女は、人にも怪異にも救いを与える“夢見の遊女”。
親に売られ、
主に裏切られ、
蔑まれながら生きてきた胡蝶は、
それでも誰一人恨むことなく、
今宵も客人の悪夢に耳を傾ける。
人の苦しみを喰らう怪異、
夢喰い獏を傍らに置いて。
失った子を忘れられない母。
死者の声を聞く少年。
醜い己を憎み続ける娘。
そして、人を喰らう怪異たち。
彼らの“夢”に触れるたび、
胡蝶は少しずつ壊れていく。
──それでも。
「救いたいのです」
これは、
誰よりも救われなかった一人の花魁が、
それでも誰かを救い続ける物語。
夢か、現か。
今宵もまた、
白い蝶が闇夜に舞う。