あらすじ
伯爵家の次男レオン・ヴォルツは、王立グランセル魔導学園の上位クラスに在籍する優等生だった。
剣術、魔法、家柄、婚約者。
すべてを持ち、周囲から期待される彼は、自分が上に立つ側の人間だと信じて疑わなかった。
だが月初めの実技査定をきっかけに、レオンの日常は少しずつ変わり始める。
平民特待生アルト・レイヴン。
努力家の少女フィーネ・ルーク。
飄々と場を読むユーリス・ベルク。
そして、敗北を知って変わり始めるハルト・グレイナー。
合同課題演習で彼らと関わる中、レオンは初めて「自分ひとりで勝つ強さ」ではなく、「誰かと勝つ強さ」を知っていく。
任せること。
待つこと。
守るものを選ぶこと。
そして、変わっていく自分を自分で選ぶこと。
しかし、上位貴族の子息であるレオンが平民特待生や周囲へ心を寄せる姿は、学園内に小さな噂と違和感を生んでいく。
婚約者エリシアは、変わり始めたレオンに不安を抱く。
周囲は囁く。
第五班は近すぎる、と。
温かい日常。
深まる信頼。
積み重なる視線。
すべてを持っていた少年は、まだ知らない。
この眩しい時間こそが、やがて訪れる転落の痛みを、いっそう深くすることを。
これは、誇り高き少年レオン・ヴォルツが一度すべてを失い、無銘の剣を手に、自分の力で立ち上がるまでの物語。