あらすじ
夜は、決して外に出てはならない
世間から少し離れた山中の町、衣張町。古い風習や因習が染みつくこの町で生きる灯山縁慈(ひやまえんじ)を、町の人々は天楼家の落ちこぼれと嗤い、避けていた。
不条理な扱いに嫌気がさした縁慈は、幼少期、同じように落ちこぼれと蔑まされていながらも、自分を励ましてくれた親戚の西柄廻徒(にしえかいと)、彼が生きていく上で救われたと言う、夜に一縷の望みを持つ。
しかし、衣張町の人々にとって夜は不可侵の世界。出歩く事は勿論、見る事すら許されていなかった。
それでも、そこにあるだろう救いを求め、縁慈は夜の世界に足を踏み入れる。
そしてそこで、縁慈は一人の少女に出会った。浮世離れした繊細さとそれに伴う儚い美しさ。一目見て心を奪われた縁慈に、トコヨと名乗った少女は笑顔で告げる。
「私を、殺してくれる?」
異質な願いから始まった二人の夜。争いの運命に巻き込まれながら、先の見えない無情な現実の中で幸せを追い求める歩みは続いていく。