あらすじ
桐島日毬(きりしまひまり)、17歳、高校2年生。ある晴れた火曜日の一限目に、突然「前世の記憶」が蘇った。
前世の自分は、読書が唯一の趣味だった28歳のOL。仕事と通勤電車でライトノベルを読み漁り、特に学園恋愛小説『原稿用紙の君へ』に溺れるように夢中になって——過労で死んだ。
問題は、今の自分が暮らしているこの「桜花高校」という世界だ。
隣の席には、あの小説のヒロイン・白峰麻耶がいる。
廊下を歩けば、小説のヒーロー・御堂凌と目が合う。
そして日毬自身は——原作で「クラスの誰か」として一度だけ描かれる、名前すらないモブキャラだった。
原作の第12話では、誤解から御堂凌に告白して、全校生徒の前で断られる。そしてそのまま物語から静かに消える——それが日毬に割り当てられた結末。
残り約3ヶ月。その運命を回避しながら、誰にも気づかれずにひっそりと生き延びるつもりだった。
なのに、なぜ御堂凌は、やたらと日毬を見てくるのだろう。
「きみほど俺を普通に見てくる人間、他にいないから」
……いやそれは、あなたが小説の登場人物だと知っているからです。