あらすじ
📜 『太陽系環状線(ソーラー・ループ)紀行』作品紹介文
【あらすじ】
地球全権大使の命がけの外交によって、無限のエネルギー『ダイソン球』と『相互観光ビザ』が解禁された大宇宙時代。大国たちが次なる宇宙利権に目を光らせる中、成田発の格安宇宙シャトル(LCC)に乗り込む、一人の風変わりな日本人がいた。
彼の名はハルト。ただの好奇心旺盛なビンボー・バックパッカーである。
背中には泥に汚れた45リットルのバックパック。手にはレンタルした安物の防護スーツ。軍隊も、政府の後ろ盾も持たないハルトは、持ち前の旅の知恵と「サバの味噌煮の缶詰」だけを武器に、緑豊かな「火星」、氷の下の水中都市「エウロパ」、オレンジの空が広がる「タイタン」と、激変した太陽系のフロンティアを純粋に満喫していた。
しかし、旅の最終目的地である金星の空中都市『ルシファー』に到着したその瞬間、ハルトの日常は一変する。
空が完全な漆黒に染まり、最高峰の超科学すら量子レベルで消滅させる謎の災厄――『黒い雨』が降り注いだのだ!
崩壊する空中都市から脱出ポッドで命からがら飛び出したハルトは、暴走の果てに太陽系の外へと弾き飛ばされ、再びあの結晶の母星『キプロス星』へと奇跡の帰還を果たす。そこでサイフがスッカラカンになったハルトを救ったのは、バックパックの底に転がっていた地球の百均のビー玉だった。キプロス人にとって「地球の天然ガラス」は星の命を繋ぐ聖遺物。なんと一瞬にして「3億円」を手に入れ、銀河最強の富豪バックパッカーへと上り詰める!
大富豪となったハルトは、地球の悪い大人たちの陰謀が渦巻く、未知の鉄の惑星『オリハルコン』行きの極秘VIPツアーへと好奇心のままに参加する。だが、そこで彼を待ち受けていたのは、銀河全体を絶対零度の闇に陥れる最凶の生命体『エンド・オブ・ライト』との、3年間に及ぶ壮絶な逃亡サバイバルだった――。
「大使たちが上の階で銀河を賭けた大交渉をやってる。俺は下の部屋で、サバ缶を食べながら待つだけだ」
巨大な銀河の政治と戦争の荒波に振り回されながらも、サバ缶とダクトテープ、そして底なしの好奇心だけで地べたを生き抜いた、一人の旅人が紡ぐリアル宇宙サバイバル紀行。本編『ルナ・ディプロマシー』の裏側で起きていた、もう一つの奇跡のグランドフィナーレが、いまここに幕を開ける!