あらすじ
怖い。帰りたい。怒鳴らないで。
侯爵令嬢クローデリア・レーヴェンハイトは、王宮の夜会で婚約破棄を突きつけられた。
王太子ユリウスは、彼女が義妹を「覇気」で威圧し、階段から突き落とそうとしたと責める。義妹ミレーユも涙ながらに嘘を重ね、夜会場の貴族たちはクローデリアを笑った。
だが、彼女は本当に何もしていない。
前世でいじめられて命を絶った記憶を持つクローデリアは、生まれ変わっても強くなれなかった。人前では震え、責められると声も出せない。ただの臆病な令嬢だった。
けれど、その震えを見た隣国最恐の黒公爵レオンハルトだけは、なぜか彼女の前に跪く。
「このお方の覇気が見えぬのか。ならば黙れ、三流」
小物には見えない。
悪人の強者にだけ見える。
クローデリアの怯えは、なぜか「覇気」として誤解されていた。
黒公爵は彼女の冤罪を晴らし、王太子と義妹を断罪し、さらに王国の黒幕である鬼宰相までも膝まずかせていく。
けれどクローデリア本人は、最後までただ震えているだけだった。