あらすじ
「……また来た」
そう言いながら、一ノ瀬玲奈は今日も俺の部屋に上がりこんでくる。
学校では誰も寄せつけない、クールで完璧な美少女。
声をかけても「別に」とだけ返し、笑っているところを
見た者はいない——らしい。
でも、俺の部屋に来る玲奈は違う。
距離が近い。冷蔵庫を当たり前のように開けて、台所に
立ってご飯を作る。「……あんたの分も作った」と言って、
隣に座る。ソファに並んで、何をするわけでもなく、
ただそこにいる。
なんで俺の部屋に来るんだろう。
なんで俺にだけ、こんな顔を見せるんだろう。
自覚がないまま、俺は少しずつ——
彼女のことが気になりはじめていた。