あらすじ
「あっ!」
おれは思わず声を上げた。
自宅のリビング。食卓の椅子に腰掛け、ぼんやりとテレビを眺めていた、そのときだった。突如として頭の奥で栓が抜けたような、ある種の爽快感が走った。鈍く張り詰めていた膜が裂け、そこから膨大な情報がボトボトと落ちてきた。めまいにも似た感覚がしたと同時に、おれは反射的に立ち上がりかけた。
椅子の脚がフローリングを擦り、キュッと音を立てた。
「どうしたの?」
ソファに座っていた妻が勢いよくこちらを振り返った。驚いたように目を丸くしている。
おれは努めて平静を装い、「いや、大したことじゃないよ……」と返した。
妻は怪訝そうに首を傾げた。だが、それ以上は追及せず、ローテーブルの上の小さな鏡に視線を戻した。さほど興味はなかったらしい。
しかし、おれの内側ではとんでもないことが起きていた。思い出した。思い出したぞ……。
――おれはどうやら宇宙人らしい。