あらすじ

家族に忘れられた。 婚約者に忘れられた。 それでも私は、私を忘れない。 ―― 目が覚めると、家族は私を知らなかった。父も母も妹も、私を見て「誰だ」と怯え、婚約者の隣には、私ではなく妹が立っていた。 戸籍、写真、手紙、婚約の記録。私の痕跡は、世界から少しずつ消えている。唯一スマートフォンに残っていたのは、見知らぬアプリの警告だった。 ――存在税未納。低存在化処理、進行中。 私はなぜ消されたのか。誰が私の人生を奪ったのか。 家族に忘れられ、婚約者に忘れられた女が、自分の名前と人生を取り戻すため、世界の仕組みに抗うSFサスペンス。 ―― 登場人物紹介 有栖川澪 旧家・有栖川家の長女。 ある朝、家族にも婚約者にも自分の存在を忘れられていることに気づく。 存在税と低存在化処理によって、家族関係・婚約関係・社会的記録を妹へ譲渡されていた。 最初は絶望するが、紙に残った名前、母の記憶、妹の証言、婚約者の断片的な記憶を手がかりに、自分自身を取り戻していく。 久世蓮司 澪の婚約者だった青年。 内閣府存在管理庁に勤める審査官。 澪のことを忘れており、現行記録上は美咲の婚約者となっている。 しかし、澪を見るたびに説明のつかない違和感を覚え、自分が彼女を消す手続きに関わっていた可能性と向き合うことになる。 有栖川美咲 澪の妹。 明るく社交的で、家族から愛されてきた。 澪が消された後、蓮司の婚約者として扱われる。 だが、澪を見た瞬間から胸の痛みを覚え、自分が姉の人生を奪っていたのではないかと苦しみ始める。 有栖川響子 澪と美咲の母。 体面を重んじる有栖川家の夫人。 最初は澪を見知らぬ女として拒絶するが、かつて娘に弾いた「眠る前の曲」をきっかけに、失われた記憶を取り戻していく。 有栖川宗一郎 有栖川家の当主で、澪の父。 事業の失敗と存在税の未納に追い詰められ、澪の存在を家の資産として差し出した。 家を守るためだったと語るが、その選択は家族全員を傷つけることになる。 白石すみれ 白い帽子の女。 低存在化処理によって世界から消えかけた元監査員。 地下で消えかけた人々を支えながら、澪に「自分を忘れるな」と告げる。 澪にとって、制度の闇を知る案内人となる。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/05/24
  • 現在の作品【長編版】目が覚めたら、婚約者も家族も私の存在を忘れていた