あらすじ
福岡市役所1階ロビー。行き交う市民の足元で、今日も無機質なモップを滑らせる一人の「お掃除おばさん」がいる。
遠山えりこ、39歳。特売の里芋で作る「がめ煮」の味を気にかけ、息子の漢字ドリルに頭を悩ませる、どこにでもいる平凡な主婦だ。
だが彼女には、決して表に出ることのないもう一つの顔があった。
週3日の清掃パートにして、福岡県警警備局に所属する極秘の要人警護要員(SP)。
そして、かつて異世界の侵略から福岡を救った伝説の部隊「第1班」の盾にして、数トンの圧力を一点に収束させる【最強の重力使い(空間の魔人)】。
市役所の床にこびりつく「因果の黴」から、消えかけた迷子の存在確率、地下に巣食う異界の悪意まで。
彼女は一切の容赦なく、ただの「お掃除忘れのゴミ」として絶対重力で圧殺・洗浄(デリート)していく。
かつての戦友たちがそれぞれの地獄で泥を啜りながら戦い続ける中、彼女はただ、彼らが帰るべき「ささやかで温かい日常」を足元から守り抜く。
これは、世界で最も泥臭く、最も慈愛に満ちた、最強の主婦による痛快なお掃除記録。