あらすじ
徹夜明けの研究室で気絶した素粒子論専攻の大学院生・佐伯蓮は、目を覚ますと異世界の神殿に召喚されていた。
王女エリシアから告げられた使命は、伝説の勇者として魔王を討つこと。だが、剣術経験も体力もない蓮が最初に気にしたのは、己の運命ではなく、この世界の物理法則の理論体系だった。
ステータスに表示された職業は「異界の観測者」。固有スキルは「解析」。蓮は火球魔法を観察し、魔力の流れ、熱変換効率、術式構造を読み解いてしまう。そして初歩魔法の係数を少しいじっただけで、訓練場の壁に穴を開けるほどの威力を叩き出してしまった。
この世界の魔法は、奇跡ではない。未知の法則に従う、まだ未整理の技術である。
魔王討伐より先に図書館へ行きたい勇者と、常識を破壊され続ける王女と魔術師たち。
これは、異世界に召喚された物理学徒が、剣ではなく観測と実験と理論で魔法体系を書き換えていく物語。