あらすじ
時は平安。都を守護する神々に仕える巫(かんなぎ)・煉夜(れんや)。
世の秩序を乱す不浄なるものを祓うのが煉夜に与えられた使命だ。
これまで数多の妖を無情に屠って来た。
ある晩、いつものように妖の討滅に出向いた際、煉夜は出会う。
金毛の妖狐の幼子に。
手負いであったが、妖に掛ける情は不要。
粛々と祓おうとするが——金色の瞳で自分を見つめ「助けて」と懇願した妖狐の言葉に煉夜は思い留まる。
……手を下す事が出来なかった。
理由は明確だ。
妖狐の色がそうさせた。
時折夢に見る情景がある。
暖かく柔らかな金色に包まれて穏やかな眠りにつく夢。
煉夜は神に賜った神威(しんい)により、永き時を生きて来た。
朽ちぬ容姿、死ねぬ身体。
不死は最早呪いだ。
夢の情景の様な終焉に、煉夜は焦がれていた。
だからだろう。
気付けば煉夜は優しい夢に出て来る色と同じ色を持った妖狐を救い、連れ帰っていた。
しかして出会った二人。
金色(こんじき)と名付けた妖狐は煉夜を恩人と慕い、煉夜は金色の無邪気さに絆されて行き——。
いつしか、煉夜は金色を愛でるようになる。
それはもう、周りが呆れ返るほどに。
此れは不死の呪いを受けた巫と妖狐が紡ぐ奇譚。
和風バトルロマンスファンタジーの序章。