あらすじ
三年前、幼馴染の蒼真が突然転校した。返却された右側のイヤホンは、もう音が出なくなっていた。——壊れたイヤホンの片方だけで音楽を聴き続ける日々。「捨てなよ」と親友に呆れられても、私はこのイヤホンを手放せなかった。捨てたら、本当に終わってしまう気がしたから。蒼真への想いも、あの夏の記憶も、全部。大学の入学式。満開の桜の下で、私は信じられない再会を果たす。三年ぶりに見つけた、あの黒髪と変わらない瞳。けれど再会は甘いだけじゃなかった。「なんで連絡くれなかったの」——言えなかった言葉が、溢れ出す。すれ違う想い、伝えられなかった本音、そして壊れたイヤホンに込められた本当の意味。片方だけで聴いてきた三年間の歌が、両耳で聴こえるようになる日は来るのか。「捨てられない」と言った私に、幼馴染が泣いた理由とは——。切なくて愛おしい、再会から始まる幼馴染ラブストーリー。