あらすじ

昔ながらの商店街に残る小さな文具店。売れるのは消しゴムや鉛筆ばかりで、売上帳の数字は心細い。店を継いだ高野耕平は、このままではいけないと思いながらも、店を閉める決断もできずにいた。そんなある日、ふらりと店に来た小学生の里奈が、売れ残りの手帳を手に取って尋ねる。「そんなに予定がない人はどうするの?」――その一言が、耕平の止まっていた時間を小さく揺らす。  店先に試し書きの手帳を置き、「次の楽しみをひとつ、書いてみませんか」と呼びかけてみる。最初は誰も振り向かなかったその場所に、やがて子どもたちの字や商店街の人たちの小さな予定が少しずつ集まりはじめる。遠足、桜餅、アイス、釣り、新しい手帳。誰かの何気ない楽しみが重なるたび、寂れかけた店の空気は少しずつ変わっていく。  大きな奇跡は起きない。それでも、空白だったページに一行だけ未来を書いてみる。人の手で選ぶこと、誰かと話しながら決めることのあたたかさを描く、商店街の文具店の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/23
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