あらすじ
「地味なスキルしか使えないお前はクビだ」
長年尽くしたパーティー『銀鹿の牙』から、用済みとして最前線の森に置き去りにされた魔法道具職人のシュウ(30代)。
途方に暮れる彼が偶然見つけたのは、人間と魔物の領境にぽつんと佇む、荒れ果てた「境界の魔法小屋」だった。
手持ちの工具と、世間では外れ扱いされる《魔法道具作成》のスキル。
それだけを武器に、シュウは自分の居場所を作るため、やれやれと袖をまくって小屋の修理を始める。
そんな彼の元に、人間の奴隷商人に捕まっていた二人の少女が転がり込んできた。
一人は、なぜか自分が聖女だと気づいていない無自覚おっとり美少女・セラ。
もう一人は、そのセラを助けるために魔王軍から一緒に逃げてきたハラペコな魔王の娘・ヴェル。
人間と魔物、それぞれの最高峰のシステムから弾き出され、ボロボロになっていた凸凹なお嬢様コンビ。
シュウは彼女たちの壊れた装備を、そして擦り切れた心を、職人のロジックで淡々と「修理」していく。
「おじさん、この結界灯、魔力回路の繋ぎ方が変態的に合理的じゃない……!」
「シュウ様、今日のご飯もとっても美味しいです!」
居心地の良い宿屋(拠点)に吸い寄せられるように、頑固な勇者パーティーや、圧倒的な実力を持つ魔王軍四天王までもが客として暖簾をくぐるようになり──?
これは、戦えない修理屋のおじさんが、崩れかけた宿屋を村へ、そして街へと大きく変えながら、世界の歪みまでいつの間にか直してしまう物語。