あらすじ
百十五歳で老衰した武の達人、榊原玄斎。
死後、神から転生と数々のチート能力を提示されるが、彼はすべてを断る。
望んだのはただ一つ、前世で先に逝った妻と同じ世界に生まれることだった。
そうして玄斎は、魔法が優位の異世界に、騎士爵家の次男レン・アルクレイドとして転生する。
だが、レンには魔法の才能がほとんどない。
姉は魔法剣の才を持ち、兄は魔法理論の神童。
妹は音に魔法を乗せる稀有な才能を持つ。
その中でレンだけは、生活魔道具を扱える程度の魔力しかなかった。
周囲は彼を「惜しい子」と見る。
だが、レンが持つのは神から与えられたチートではない。
前世で百十五年かけて極めた、武の理。
刃も、魔法も、殺気も、重心も、呼吸も、すべてには起こりがある。
それを読めるレンにとって、魔法優位の世界もまた、理の上に成り立つものだった。
魔法適性なしと軽んじられる少年は、貴族学校で仲間と出会い、静かにその異常性を示していく。
転生チートはいらない。
手足が動けば、それでいい。
これは、理を知る達人が、もう一度人生を歩き、家族と仲間を守りながら、前世の妻の魂を探す物語。