あらすじ
陽が落ちると、都は静かになる。
――いや。
本当は、その逆だ。
夜半を過ぎた頃より、都は騒がしくなる。
橋の下から響く泣き声。
誰もいない路地に立つ影。
人ならざるものによる怪異。
人々が目を背ける夜を、密かに歩くひとりの少年がいた。
名を、月影 夜半。
黒衣を纏い、怪異を斬るその姿は、“月下の祓い人”と囁かれている。
だが彼は、ただ怪異を滅するために剣を振るうのではない。
その瞳はいつも、“悲しみ”を見つめていた。
これは、夜に哭くものたちと、
救えなかった痛みを抱える少年の、静かな怪異譚。