あらすじ
真瀬透は、折坂大学に通う二十歳の大学生。
かつては短距離で将来を考えていたが、膝を壊してから走る道を失い、今では何を目指したいのかさえ分からなくなっていた。
親友の佐伯圭だけは、そんな透を特別扱いしない。
進路を決められない透を責めるでもなく、励ますでもなく、いつものようにくだらない会話を続ける。圭が何かを言う前に机を二回叩く癖も、透にとっては日常の一部だった。
ある朝、透は空から降る白い欠片を見る。
誰にも見えず、音もないそれは、透の手に触れた瞬間、皮膚の中へ吸い込まれるように消えた。
その夜から、透は奇妙な夢を見るようになる。
高い場所。玉座。顔のない誰か。
目覚めると夢の中身は消えているのに、胸の奥には異様な充実感だけが残る。
やがて透は、人間には見えない階層生態系の存在を知る。
異物。魔物。神域。
現実と同じ場所に重なる不可視の世界で、透は体内に宿った謎の異物「ヌル」と共に戦い、倒した存在を吸収して力を得ていく。