あらすじ

始まりは、一冊のミステリー小説だった。 まだ折りたたみ式の携帯電話が主流だった時代。 都心でシステムに向き合う「マナブ」と、京王線沿線でピアノに向き合う「ケイコ」。 新宿や上野での本の貸し借り、お互いの体調を気遣う素っ気なくも温かいメール、そして深夜に届いた、まっすぐな一行。 二人は、安易にその一線を超えることなく、お互いを調律し合える「心地よい距離感」を守り続けた。 やがて巡る忙しい季節の中で、いつしか途絶えてしまった連絡。 しかし、スマートフォンの時代に変わったある春の日、SNSの画面が再び二人の楽譜に音符を踊らせる。 「今ね、ある新しいゲームを作っているんだ」 「おぉ、本当に? 楽しみに待ってる!」 長い空白の時間を経て、お互いの歩んできた苦労を知る二人は、やがて得意な「技術」と「音楽」を重ね合わせた、ある手作りの創作へと向かっていく――。 本の貸し借りから始まり、十数年の時をかけて美しい旋律へと収束していく、大人二人の静かで愛おしい物語。 【登場人物】 ◆ケイコ プロを目指して葛藤を続けてきたピアニスト。感覚豊かで、マナブの書くシステムコードの中に「バッハの楽譜に似た美しさ」を見出す。 ◆マナブ モバイルゲームを開発するエンジニア。理性的で少しぶっきらぼうだが、誰よりも真面目でケイコを静かに気遣う。実家は全員ピアノを習っていた。

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カクヨム
カクヨム2026/05/23
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