あらすじ
王太子ヴィクトールに婚約破棄された侯爵令嬢クラウディア・フォン・カルンシュタイン。
理由は、彼女が「民を数字でしか見ない冷たい女」だから。
ヴィクトールは、癒やしの奇跡を持つ聖女ベアタを選び、善意と祈りで王都を救えると信じていた。
けれど、クラウディアが見ていたのは、人々の涙だけではない。
井戸の濁り。
下水の逆流。
慈善病院の薬剤倉庫。
救済基金の帳簿。
貧民街の水場。
そして、王宮の誰も見ようとしない都市の底。
幼い頃から彼女は、花より先に排水溝を見る令嬢だった。
婚約破棄の夜、南第五井戸に異変が起きる。
聖女は病人を癒やせる。
だが、汚染された井戸は癒やせない。
「あなたの善意は必要です。ですが、善意だけでは足りません。だから水を止めます」
これは、婚約破棄された令嬢が、王都の水脈と帳簿を読み、華やかな王宮の足元から国を救っていく物語。
王太子妃にはならない。
けれど彼女はやがて、王国にとって王妃以上に必要な存在となる。