あらすじ
家賃三万円、駅徒歩七分、フローリング、洋室一K。
フリーランス翻訳家(実質無職)の有田孔明(28)が見つけた物件は、完璧だった。
──ただし、一部資材に「ちくわ」が使われていることを除けば。
柱を叩けば「ポフッ」。
壁を押せば「ポポフッ」。
蛇口からニュルリと伸びるちくわからは適温のお湯が出、コンセントの穴はちくわの内腔そのもの。
磯の香りに包まれながら、老子の哲学書を翻訳する孔明。
「ちくわをちくわたらしめているのは、その中心にある空洞(無)だ」
傷つき、すべてを失って「心の穴」を抱えていた孔明は、壁のちくわを眺めながら、人生の真理へと辿り着き涙する──。
が、物語はそこで終わらない。
結露、コンクリート改修、SNSでのバズ、国会答弁、そしてカンヌへ……!?
現代社会の不条理を「ちくわの穴」から覗き込む、感動系(?)シュールレアリズム・コメディ、ここに開幕!
(大家より一言:「ちくわだけど?」)