あらすじ
前世の俺は、いわゆる「モノづくりを拗らせた生粋のITギーク」だった。
独自のアルゴリズムで画期的なプラットフォームを開発し、気づけば時価総額一兆円を超える世界的IT企業を創設。だが、技術ばかり見ていた俺は権力闘争を見落とし、利益を独占しようと企む腹心の幹部に毒殺されるという陳腐な最期を迎えた。
次に目を覚ました時、俺はスラムのあばら屋で、下民の子供『レオ』として転生していた。
そこは剣と魔法の世界。だが、魔法は貴族と魔術ギルドに『術式特許(知的財産)』として独占されていた。火や水の魔法を使うたびに高額なライセンス料を搾取され、無断使用は即座に処刑。貴族は特許というルールで下民を支配していたのだ。
さらに絶望的なのは、転生した俺のステータスだ。
* **魔力量(MP):2(スライムの100分の1以下)**
* **魔法適性:【万能】(全属性の魔力波長を完全網羅)**
全属性の魔法が使えるのに、MPが低すぎて既存の特許魔法が一つも発動できない。まさに【最弱にして万能】の詰みキャラである。
「……だが、既存の特許魔法が重すぎて使えないなら、ソースコードから書き直せばいい」
俺は前世のITエンジニアの知識と経営ロジックをフル回転させた。MPをほぼ消費しない「静電気」や「微風」といった極小の魔法を、数万回並列処理させることで、既存の特許を完全に回避した「オープンソースの新規魔法」を組み上げたのだ。
特許を無効化する没落王女、特許マニアの助教授、特権を嫌う貴族の三男、そして天才的な鍛冶の腕を持つドワーフの少女。
スラムで出会う変わり者(ビジネスパートナー)たちと共に、誰も見向きもしない「ゴミ特許」を組み合わせ、世界のインフラを作り変えていく。
これは、前世で一兆円の財を築いた男による、底辺からの巨大な『敵対的買収』の物語である。