あらすじ
2055年。かつて突如現れ人類文明を破壊した「ゲンセイ生物」が地上の支配者となり、幾星霜。
かろうじて存続した一つの人間社会である、とある村。そこで村八分にあっていた「わたし」。お姉ちゃんといっしょに村の外で狩りをしていたところ、「こまり」を名乗るやけに強い少女と出会う。
そこで空中に話しかけていることを訝しがられるが、「わたし」は虚ろな目でお姉ちゃんに話しかける。こまりは村の神に挨拶しに来たようであった。
村に戻ると、「わたし」のテントは解体されていた。
もう「村」の中に居場所はない。そう悟った「わたし」は外で生活しようとする。が、その前にこまりに言われて一度村長(司祭)と村の神に別れの挨拶をすることに。
石を投げられながら村の大きな祭壇にたどり着く。そこで、村長に深々とお辞儀をすると、一言「去ね」と一蹴され。
しかしそのとき、祭壇ががたがたと震えだした。
幻影のお姉ちゃんが笑った。
「こっちにおいで」
幻聴ではないセリフは、「わたし」を引き寄せ。
「わたし」は自ら、村の神に喰われた。
村の神の中には、たくさんの人間がいた。喰われた魂が、宿っていた。
お姉ちゃんの前に食べていたのは死骸だった。けど、お姉ちゃんは喰われたときまだ息があった。故に——村の神の意識にお姉ちゃんが混ざった。
わたしとお姉ちゃんと神は渾然一体となって、村を破壊する。人間を喰らうことすらなく蹂躙し、何もかもを破壊し、殺戮の限りを尽くす。
こまりはその様子を、ただ退避しながら傍観していた。
やがて崩れた洞窟を前に、村の神だったもの——あるいは異形と化した姉妹は、お辞儀して去っていくこまりを横目に、どこか清々しい気持ちで口にした。
今度の引越し先はどこだと思う?
この作品は日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2026の共通文章から創作したものです。
https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon2026