あらすじ
リンドブルム王国の第五王子アルスは、才能もなく誰からも期待されない「空気のような王子」だった。
しかし、彼には誰にも言えない秘密があった。
それは彼が、現代日本の歴史好き公務員の生まれ変わりであるということ。
ある日、第一王子ジークハルトの策謀により、アルスは辺境の寂れた「テル村」の代官へと左遷されてしまう。
だが、誰の監視もない辺境の地こそ、アルスにとっては理想の実験場だった。
「与えられたこの小さな箱庭で、俺の知識がどこまで通用するのか試してみよう」
衛生観念の低い村に石鹸を導入し、三圃式農業で食料を増産。
さらにはガラス製造や活版印刷機、果てはマスケット銃や蒸気機関までも生み出し、寂れた村をあっという間に活気あふれる近代都市「テルフォード」へと発展させていく。
一方、腐敗した王国は隣国・ガルディナ帝国の侵略によって崩壊の危機に直面していた。
逃げ惑う貴族たちを尻目に、アルスは自らが育て上げた「市民軍」と未知の近代兵器を率いて、圧倒的な大軍に立ち向かう!
【登場人物紹介】
◇アルス・フォン・リンドブルム
本作の主人公。
リンドブルム王国の第五王子。
前世は日本の歴史好き公務員。
転生によって得た現代知識を武器に、王国の近代化を目指す。
一見すると物静かな読書好きの青年だが、内には国家の未来を見据える冷徹な合理性と、民の暮らしを憂う熱い情熱を秘めている。
◇エミリア・クラインフェルト
下級貴族出身の若き女性官僚。
高い実務能力と清廉潔白な人柄を持つが、旧態依然とした貴族社会に失望していた。
アルスの革新的な政策と理想に感銘を受け、彼の最も信頼する側近となる。
その的確な分析力と事務処理能力は、アルスの改革に不可欠な存在。
◇バルツ・アイゼンハンド
王都でも名の知れた頑固者の鍛冶職人。
伝統的な武具作りに行き詰まりを感じていたが、アルスが持ち込んだ未知の技術の設計図に心を奪われる。
以降、アルスの技術開発を一手に担う工房長となり、蒸気機関や新兵器開発にその情熱を燃やす。
◇ゴードン・シュタイン
抜け目のない中年の行商人。
金儲けが第一だが、義理人情に厚い一面も持つ。
当初はアルスの政策を半信半疑で見ていたが、テルフォードで生産される特産品の圧倒的な商品価値に気づき、アルスと専属契約を結ぶ。
その広い人脈と商才で、アルスの経済政策を支える。
◇ジークハルト・フォン・リンドブルム
リンドブルム王国の第一王子。
次期国王の最有力候補。
プライドが高く、伝統と権威を重んじる保守的な思想の持ち主。
突如として頭角を現した弟アルスを危険視し、様々な策謀を巡らせてその台頭を阻止しようとする。
これは、誰にも期待されていなかった王子が、現代知識と民を想う心で旧弊な世界を打ち破り、やがて伝説の「賢王」として歴史に名を刻むまでの壮大な英雄譚。