あらすじ
突撃し、突き刺さるためだけの鉄の棺桶。
特攻任務に失敗し、地表へ不時着した兵士・ソラを基地で待っていたのは、「不発弾」という冷ややかな蔑みの声だった。
先達たちの死への罪悪感、生きていることへの拒絶、それなのに次を求めて鳴る腹の音。
暗闇の中で自らを責め続けるソラに、翌朝、再び下されたのは「再出撃」の命だった。
あてがわれたのは、くたびれた旧式の輸送機。
片腕の動かない機長、ぶっきらぼうにチョコレートをくれる整備員、そして「明日も晴れるかな」と無防備に笑う少年兵。
護衛もない捨て駒の飛行の中で、ソラは閉ざしていた胸の奥の“名前のない火”と向き合うことになる。
――これは、翌朝の報告書にただ一行、【輸送機乗員三名、特攻搭乗員一名、戦死】とだけ記された、名もなき彼らの最後の空の記憶。