あらすじ
オルデン王国の第三王女、シロナ・オルデンは、灰羽峠の戦いで初めて帝国軍を退ける。
久しぶりの勝利に、兵は歓声を上げた。
民は救われ、王国はまだ戦えると知った。
けれど、その勝利を前に、ただ一人だけ笑わない女がいた。
黒髪の亡命軍師、クローディア・ノクス。
敵国グランヴァール帝国から逃れてきた彼女は、勝利に沸く王女へ静かに告げる。
「この国は、あと三度勝てば滅びます」
勝利は民を救う。
だが、勝利は国を酔わせ、財布を空にし、退く道を焼き、次の敗北を呼び込むこともある。
勝つことだけを信じていた王女は、敗北を知りすぎた軍師から、国を残すための“負け方”を学び始める。
戦場、宮廷、聖座、商会、帝国。
伸びてくる手の中で、王女は勝利の意味を問い直す。
これは、若き王女がただ勝つ物語ではない。
敗北を選ぶ勇気で、未来を残そうとする物語。