あらすじ
西暦2084年。
人類はついに「不快」を克服した。
AIによって管理された超都市では、気温も感情も最適化され、人々は病気にも飢えにも苦しまない。
転倒しても誰も助けないほど合理化された世界。
そこには争いも混乱もない――だが、人々の目からは“輝き”が消えていた。
17歳の少年・ユウは、ある日ネットの深層領域で、違法フルダイブプログラム《EMBER(残り火)》を発見する。
それは、現代AIによって「危険」と封印された旧時代の仮想世界。
雨は冷たく、火は熱く、獣は人を喰らい、傷は腐る。
便利なシステムも、快適な衣服も、助けてくれるAIも存在しない。
そこでユウを待っていたのは、
臭く重い獣皮の服、泥だらけの森、そして“生きること”そのものだった。
最初に彼を拾ったのは、森で暮らす謎の竜人族の老人。
火を起こし、薬草を煎じ、獣の皮を縫い、生き延びる術を知るその老人は、ユウへこう告げる。
「便利なだけの世界では、人の魂は弱くなる」
やがてユウは、《EMBER》で出会う仲間たちとの旅を通して、
* 痛み
* 空腹
* 火の温もり
* 誰かが自分のために時間を使うこと
を知っていく。
これは、
“快適すぎる未来”で空っぽになった少年が、
“不便すぎる世界”で人間へ戻っていく物語。