あらすじ
東京湾岸の架空の特別区「灘洲(なだす)区」。この街では住民の「忘れたい記憶」を行政サービスとして買い取り、地下300mの記憶保管庫「沈黙層」に封印する制度がある。市役所「第七課」(忘却課)に配属された新人公務員・**苫野詠(うた)**は、業務が漏出した記憶が怪異化した「未練」の封印処理だと知る。指導役の特殊技官・宇喜多は「記憶を読む手」を持つが、自分の過去だけ思い出せない。事件を追ううち、詠は自分がこの街で生まれた記録がなく、採用通知の経緯すら曖昧なことに気づく。記憶を売る街で、覚えている者こそが異物だった。