あらすじ
「怖くないよ。私は『記録官』――恐怖すらデータにして、乗り越えられるんだから」
人間を拒絶する冷酷な地下都市『ヴォイド・ディープ(Void Deep)』。そこは、異形のモンスターたちが支配し、人間から『記憶』を搾取して異能のスキルへと変える、等価交換の行き着いたディストピアだった。
最愛の妹・エルサをモンスターの貴族に連れ去られた少女・アリアは、妹を奪還するため、生身のままその地獄へと身を投じる。
アリアが持つ唯一の武器は、目にした事象を冷徹に分析・保存する『記録官(データマニア)』としての圧倒的な執念と、一冊のノートだけ。
トカゲの鱗を持つ不器用な元貴族の美女・セラを相棒に迎え、アリアは街のルールをハッキングし、データを武器にのし上がっていく。しかし、妹の救出に近づくため強力なスキルを獲得するたび、アリアの脳内からは「初恋の人の顔」「お気に入りの雨の音」、そして「エルサとの大切な思い出」が、代償として一つ、また一つと削り取られていき――。
「たとえ明日、すべての記憶を失うとしても。私はこのノートに、私たちの生きた物語(データ)を刻み続ける」
失われた記憶の断片を紙の上に縫い付けながら、巨大な都市のシステムに牙をむく!
孤独な記録官の少女が紡ぐ、絶望と奇跡のダークファンタジー、ここに開幕。