あらすじ

ただ、同時に手を思い出す。 古木のように大きく、節が張り、皺が深い。 あの手で、他人のものを奪わなかった。 それだけは絶対だった。 頑固で、怒鳴り、威圧し、周りの迷惑を顧みず、こだわり続ける。 そういう人だった。 そういう人なのに、優しい人だった。 その矛盾が、私はずっと分からなかった。 怒鳴る人間が優しいわけがない、と。 けれど、怒鳴ることでしか守れないものがあるのだと、私は後になって知った。 優しさは、いつも柔らかい顔をしているとは限らない。

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カクヨム
カクヨム2026/05/22
  • 現在の作品『趣味の人』