あらすじ
「きみは僕の言うことを聞いていればいいんだよ。悪いようにしないから、ね?」
見上げた先で微笑む彼はとても美しく見惚れるような笑みを浮かべていたが目は侮蔑がにじみ出ていて氷のように凍てついていた。
これが婚約者に対しての躾だと言われて何が言えよう。しかも相手は王子だ。臣下の貴族令嬢であるわたしに逆らう権限はない。
彼が言うことは正しく、わたしが間違っている。そう教えられてきた。だけどどうしてもうまくいかない。
寄付金ひとつすら金額であーだこうだ、送り先であーだこうだと文句をつける。そのくせ自分達への投資は湯水のごとく使うのだ。その投資の見返りが増えて周りにも分け与えられるならまだいいが、増えることはないし損をすると言って見返り前から出し渋る。なんのための貴族だというのだろうか。そう不満に思うものの、でしゃばりなわたしはうっかり口を出しては父や婚約者に叱られるのだ。
ダメなわたしだが、色々と試行錯誤しでしゃばらないよう気をつけながら王子の婚約者を務めてきた。そのはずだった。