あらすじ

夫の隣には、いつも義妹が座っていた。 私はヴァルトハイム侯爵家の若夫人。年に四度の茶会を主宰し、家計も贈答も招待状の宛名も、私の机の上で整えてきた。 「彼女は家族同然なんだ」 「君なら分かってくれるだろう」 夫はそう言って、当主の隣を妹に譲り、私の名のとなりに妹の名を並ばせた。 私は怒らない。怒鳴らない。 ただ、春の招待状に並んだ二つの名前を見て、初めて、その言葉の重さに気づいただけだ。 義母様だけが、私を見ていた。 机の引き出しの帳面に、四つの空白の欄を空けて。 そして、書斎に届く紺色の封蝋。 公務には使われない色で、私の名だけに宛てられた、誰かの便り。 春、夏、秋。私は微笑んで、席を譲り続けてきた。 冬の茶会の朝、私は何を選ぶのだろう。 茶器の下に挟む一通の書状で、家の何が、変わるのだろうか。

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小説を読もう2026/05/22
  • 現在の作品春夏秋冬〜四度目の茶会で、私は離縁状をお出ししました〜