あらすじ
山あいの小さな町。
みかん農家を営む父親が、息子を殺害した容疑で逮捕される。
近所でも評判の優しい父親だった。
暴力もなく、真面目で、誰よりも息子を気にかけていた男。
そんな父親がなぜ実の息子を殺したのか――。
家族は長い間、息子の暴言や暴力に耐えていた。
仕事を辞めて部屋に閉じこもった息子は、次第に家族を追い詰めていく。
それでも父親だけは、「いつか元に戻る」と信じ続けていた。
事件のあった夜。
激しくぶつかり合った父と息子。
しかし最後に息子は、泣きながら父親へこう告げる。
「もう無理なんよ……」
「俺を殺してほしい」
その言葉の先にあったのは、殺意だったのか、救いだったのか。
残された母親、閉鎖的な町、そして沈黙を続ける父親。
少しずつ明かされていく家族の真実の中で、
“愛していたのに壊れてしまった家族”の姿が浮かび上がっていく。
『それでも愛していた』は、
罪と愛情の境界を静かに問いかける心理ミステリー。