あらすじ

「だって友達だもん!」 十歳の山羊農家の少年と、御殿付きの薬師の友情――。 朔夜はその日、具合の悪い父のことが心配で、子ヤギと遊んで気を紛らわせていた。そこに突然、声をかけてきた一人の男がいた。 その男は龍樹と名乗り、翡翠宮の薬師だと言った。 山羊の乳を分けてほしいと言うその人の笑った顔に、朔夜はあっという間に彼を好きになる。 龍樹は薬草を持っていた。薬を買う金もない朔夜の家で、夢みたいに綺麗な手つきで父ちゃんの傷を手当てし、かまどに火を入れて、山羊の乳を温めてくれた。 その温かさと甘さが胸に広がった瞬間、母ちゃんが亡くなってから初めて感じた何かに、朔夜はぽろりと涙をこぼした。 しかしその夜、父ちゃんの熱が上がった。龍樹が預けていった通行証を握りしめ、朔夜は小雨の中を翡翠宮まで一時間、走って走って走った——母ちゃんがおやすみと言ったまま翌朝起きなかったことを、頭の中でぐるぐると思いながら。 "ものごとのはじまり"という名前を持つ少年と、この街に来てまだ一年も経たない薬師の、友情のはじまりの一日を描いた和風ファンタジーの短編です。

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小説を読もう2026/05/22
  • 現在の作品ものごとのはじまり ー朔夜と薬師の龍樹ー