あらすじ
高校一年生の夏。
小さな田舎町で育った月岡 百合は、他県から越して来た大原 夕月と恋人になった。
町には週に一度、移動スーパーがやってくる。
無口なおっちゃんが焼くクレープを半分こして、川べりで食べる時間が、二人の世界のすべてだった。
あの竜巻が町を壊すまでは。
町で訪問看護をしている百合の母は帰らず、移動スーパーのおっちゃんも命を落とした。
母を失って、居場所をなくした百合を連れて、夕月は東京へ出る。
「いつか二人でキッチンカーをやろう」
夢だった店を開き、結婚し、ようやく幸せになれたはずだった。
けれどニ年後、夕月の不倫によって二人は離婚する。
裏切られた。
それでも百合は、夕月を嫌いになれなかった。
数年後。
仕事先で再会した夕月は、有名シェフとして不倫相手の女性と結婚していた。
昔と変わらない優しさで、当たり前のように百合の好きな味を覚えている夕月に、百合の心は再び揺れていく。
百合と夕月にはお互いに言えない秘密があった。