あらすじ
ブラック企業で働くシステムエンジニア・田中とおる、28歳。
ある日、限界を迎えた彼は会議室で退職の意思を口にする。
しかし次の瞬間、上司・田所部長が拳銃を取り出し、とおるを射殺した。
普通なら恐怖や後悔を抱くはずの死の瞬間。
だが、とおるの頭に浮かんだのは――
「……いや、これちょっと面白いな」
という感想だった。
死後の世界で彼を待っていたのは、神様ではなく、スウェット姿の落語家・桂文太。
“死に際に笑える人間”を見込まれたとおるは、大阪へと“転生”させられる。
転生先は異世界でも、勇者でもない。
道頓堀の外れにある、小さな社会人芸人ライブだった。
かつて笑わせることを諦め、人生を「ちゃんと」生きようとしていた男。
そんな彼が、大阪の芸人たちや劇場文化、人情、スベり、嫉妬、ウケ、そして「誰かを笑わせること」の魔力に呑み込まれていく。
これは、銃で撃たれて死んだ男が、“本当にやりたかったこと”のために生き直す物語。
笑いとは何か。
人生とは何か。
そして、人は何のために生まれてくるのか。
大阪の街で、今日も誰かが笑っている。