あらすじ

サイバネ化と電脳社会が当たり前となり、能力者【SPECIAL】と一般人【NORMAL】が共存する近未来都市。 能力者は国家によって格付けされ、派手で有用な能力を持つ者は英雄として遇される一方、価値の低い能力者は社会の底辺へと追いやられる。 主人公、ビル・コワルスキーはその最底辺―― SPECIALランク「C-」を与えられた五十代の男だった。 彼の能力は、「この世界に“存在していないモノ”しか作れない」具現化能力。 しかも不発が多く、成功しても二度と同じものは作れない。 長年の経験から、ビルは気づいていた。 不発とはつまり―― 「それはすでに、この世界のどこかに存在している」という証明なのだと。 能力に見切りをつけた彼は、下町のボロ家で個人事業「ビル・コワルスキー便利屋」を営み、ドブさらい、配管詰まりなど、誰もやりたがらない肉体労働で日銭を稼ぐ日々を送っていた。 サイバネ化すれば楽になる。 だが「親にもらった生身を弄りたくない」という矜持だけは、最後まで捨てられずにいた。 そんなある夜。 安酒のバーボンをあおりながら、深夜テレビのラブロマンス映画を眺めていたビルは、酔った勢いで、こんな愚痴をこぼしてしまう。 「……俺のことを、無条件で愛してくれる伴侶(おんな)でもいりゃあな」 その瞬間、封じていた能力が発動する。 だが現れたのは「具現化」ではなく―― この世に存在していなかったはずの“女性”の創造だった。 そこでビルは、はっと思い出す。 ――存在しているものは、作れない。 つまり、彼女が生まれたということは。 「……そうか。出来ちまったってことは……この世界には、俺を愛してくれる女なんて、最初から一人もいなかったってことか」 こうして、社会の最底辺に生きる男と、世界を書き換えられる“未登録のバグ”の同居生活が始まる。 それは、世界を救う物語ではない。 世界を壊さないために、踏みとどまる男の物語。 (なお、校正と編集にAIを使用しています)

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/05/21
  • 現在の作品世界の不適合者と、無垢なる女神